自作アンプの参考に!ONKYO A-817RXII の回路と整備

自作アンプの参考に!ONKYO A-817RXII の回路と整備

先日、オンキョーのホームAV事業がSound United社に譲渡されるというニュースが飛び込んできました。

オンキヨー、ホームAV事業を譲渡へ。デノン・マランツを擁する米Sound Unitedに

そして何を思ったか、大昔に所有していたプリメインアンプ「Integra A-817RXII」を急遽入手。当時憧れであったスペックの秘密を解き明かすべく、回路の解析と徹底メンテナンスをやることになりました。

今やデジタルアンプ全盛の時代ですが、アナログアンプの基本は今も昔もほとんど変わっていません。こんなご時世に本格アナログアンプを自作してやろうという方の参考に、また、古き良き時代のアンプのメンテナンス作業の参考になればと思います。

ONKYO Integra A-817RXII

今から約30年以上も昔、昭和の時代は大型で本格的なオーディオ機器を自宅に所有することはステータスの一つであり、ブームの頃もありました。

CDメディアが世の中に浸透してきたころ、オンキョーは大型ブックシェルフスピーカー「D-77」シリーズを発売。これが火付け役となり、各社から次々と同クラスのスピーカーが発売されるなど、この頃のオンキョーブランドは花形でした。

ONKYO Integra A-817RXIIそんな最中に発売されたのが「Integra A-817RXII」

三種あったグレードのうち、標準に位置する機種になります。

1985年発売
松:Integra A-819RX ¥119,000
竹:Integra A-817RXII ¥79,800
梅:Integra A-815RXII ¥69,800

カタログに載っている音質に関連する主な特徴は次の通り。

デジタルノイズの侵入を防ぐ「インフェイズトランス」を入力と電源に搭載。
インフェイズトランスによりアンプ内部で発生する位相ズレをキャンセル。
チャージノイズフィルターを搭載。
トーンアンプを用いないダイレクトトーン回路。
スピーカーの±両端をコントロールするダブル・センシングサーボ方式。

・定格出力:115W+115W(6Ω) 100W+100W(8Ω)
・混変調歪率:aux→sp out :0.004%(定格出力時)
・周波数特性:aux→sp out :2Hz~100kHz
・S/N比:CD、tuner、aux、tape play :100dB

ONKYO Integra A-817RXIIの仕様
ONKYO Integra A-815RXIIの仕様

カタログ

残念ながら、A-817RXIIのカタログは持っていないのですが、A-815RXIIが載っている総合カタログがあるので、その部分を載せておきます。

A-817RXIIは、公式にはA-815RXIIと機能は同じでハイパワー化したとされていますが、実際にはいくつか細かい点でグレードが高くなっています。
 

ONKYO Integra A-815RXII のカタログ
【出典:ONKYO アンプ・チューナー・グラフィックイコライザー 総合カタログ(1987年2月)】

当時は足繁く店に通ったり、カタログを眺めては萌え萌えとしていたものです。

構成と回路図

先のセールスポイントがどのような回路で実現されているのかを見ていきます。

全体ブロック図

ONKYO Integra A-817RXII ブロック図

シンプルです。シャシーへのアースポイントはPHONOアンプの近くに一点。フロントシャシーへの補助配線がありましたが、アンプ回路との接続点はその一点だけです。

回路図

実際にはいくつかの基板に分散していますが、機能ごとにまとめました。

PHONOアンプの回路は載せていません。また、LED表示、CD以外の入力系統やAV接続、TAPEへのREC出力などは省きます。これらの信号入出力経路は、主にただのスイッチの切り替え回路となっています。

パワーアンプ部の保護回路も省いていますが、増幅回路部分は完全に網羅しています。

電源回路

自作デジタル温湿度計の回路図

このアンプの一番のウリである「インフェイズトランス」が電源トランスの二次側にあって、その後ろに「チャージノイズフィルタ」が接続されています。
このコイルとコンデンサの組み合わせは、ACラインのノイズフィルタでよく見かける典型的な回路。なんのことはない、普通のラインノイズフィルタだったんですね。

A-817RXIIのパワーインフェイズトランスただ、これが二次側にあるというのがポイントで、コモンモードコイルの性質により電源トランスの中点には基本的に電流が流れず、常にブロックコンデンサ(15000uF)を経由します。これによって、特にスピーカーの共振周波数(Fo)付近で発生する電流位相のズレをキャンセルすることで低域の再現性を高めているとのこと。

電源トランスの中点はダイオードを経由してグランドに接続されていますが、いくつかの理由でAC/DC的に中点電位が大幅にズレることを予防するものと思われます。

それから、パワーアンプの電圧増幅段やPHONOアンプなど、デリケートな部分に電源を供給する安定化電源回路も、一般的な定電圧回路となっていますね。

入力回路

自作デジタル温湿度計の回路図

カタログでは、CD入力端子にも「インフェイズトランス」を挿入してノイズの侵入を防いでいると説明されています。

インプットインフェイズトランスこれも結局はコモンモードノイズフィルタなんですが、見てみるとなんと1Kの抵抗を抱かせてあるじゃありませんか。うーむ、想像もしてませんでした。これ、なくても良さそうに思えますが、なんのためにあるんでしょうか。ダンピングですかね?

入力回路に入っているコモンモードコイル後、150nHというオーディオにしては非常に小さいコモンモードコイルも入っています。RF域のノイズ防止か、発振防止だとは思うんですが、一方のグランド接続がトーン回路内でクローズしているため、どういった理屈でどんな効果を狙っているのかはハッキリ分かりません。

パッシブ素子だけで作られたダイレクトトーン回路も一つのウリです。アクティブ回路にするとどうしても信号劣化の要因になってしまうからですね。

その代わり、入力先のインピーダンスの影響を受けやすくなるので、トーン回路全体のインピーダンスを上げる必要があります。後段のアンプの入力インピーダンスも高くする必要があるんですが、後段はFET入力になっていて、その点はクリアしているようです。
こうなるとノイズ耐性が落ちるのが心配ですが、そこはさすがONKYOのアンプです。

このダイレクトトーン回路は自作回路にも応用できるかなと思ったんですが、使っているボリュームが特殊品なので難しそうです。

ダイレクトトーン回路基板ボリュームは中点から端子が出ているタイプが必要。BASSは4連タイプ。TREBLEは一見するとボリュームに見えますが、内部はロータリースイッチで抵抗を切り換えるタイプでした。

アンプ回路

自作デジタル温湿度計の回路図

各部の電圧と電流は実測値(電流はV/Rから算出)です。
さすが量産のアンプらしく、自作アンプでは見かけない工夫がされています。

初段には低ノイズなデュアルFETの 2SK389 が使われています。
この回路では、二段目でも大きくゲインを稼ぐようになっているようですが、JA101Q というPHILIPSのトランジスタが使われていて、なんでここだけ海外製なのかは謎。データシートでは汎用トランジスタと書かれています。

出力段使われているサンケンの 2SC2837/2SA1186 コンプリ出力段には、サンケンの 2SC2837/2SA1186 コンプリが使われていて、パラレル接続されています。なお、このトランジスタは今でも入手可能です。

写真の上側にあるのは熱結合用の 2SC1815GR とダイオード(型番不明)です。

JRCのオペアンプ 4558DX が使われていますが、直接の信号増幅に関わってはいません。ダブル・センシングサーボ方式と呼ばれる回路の一部で、積分後の信号をフィードバックしており、出力のDCオフセットを調整するのが主な目的となっています。

また、5pinが接続しているグランド(SE)は、スピーカーの-端子への配線と共有しており、超低周波域のノイズブレをキャンセルしようとしています。
スピーカーの出力端子付近に接続していればもっと良かったんでしょうが、わりと電源に近いところにつながっていたのがちょっと残念です。

JRCの4558DXちなみに、NJM4558 は現在でも入手可能ですが、現在のものは絶対定格電圧が±18Vなので換装はできません。

昔のオペアンプは、こんな感じのツヤのあるパッケージが多かったです。

初段周辺の回路初段周辺の回路。

100W級なのでゲインは約46dB(200倍)もあります。差動一段なのに良くできてますね。

ここまで見てきて、電源に入っているパスコンが少ないことに気づかれたでしょうか。
自作アンプ、特に初心者さんは様々な箇所にたくさんのパスコンを入れようとしますが、その効果は限定的です。接続場所によっては逆効果になりかねません。

当方も昔「電源ラインにパスコンを入れまくらないと気が済まない症候群」になったことがあるので、よくわかります。

無いよりはマシという考え方もできますが、そこに投資するよりもグランドの引き回しに力を入れる方が有益なことも多いのではないかと思います。

整備方法

今回入手した個体は正常に音が出ており、ボリュームのガリもなく、ホコリも少なく比較的良好な状態でした。しかし、さすがに30年以上も前のものなので、空回りするツマミなど故障箇所もあります。

一番ひどかったのはブロックコンデンサの液漏れで、基板やケーブルを腐食しているだけでなく、電解液特有のニオイも放っている状態でした。

主な故障箇所
・一部切替スイッチのツマミが空回り
・MC/MM切替えスイッチが動かない
・SPEAKERS切替スイッチが接触不良
・ブロックコンデンサ2つとも液漏れ

調べてみると、このアンプはMC/MM切替えスイッチが特に弱点のようで、動かなくなっているケースが多い模様。また、ブロックコンデンサも大抵は液漏れしているようです。

メンテナンス方針

基本的にオリジナルを尊重し、部品の相当品への交換は行いますが、定数や回路の変更といった改造は行いません。

故障箇所の修理

当たり前ですが、故障している箇所はできる限り治します。今回は、交換用の部品取りやリファレンスのために、別の個体「A-815RXII」も入手しました。

ブロックコンデンサの液漏れ対策

問題の電解コンデンサを交換しようにも、同じ端子形状を持つコンデンサは入手困難であることが分かりました。また、基板を腐食してしまっているうえニオイも染み込んでいるようなので、電源基板を自作して交換することにします。

電解コンデンサの交換

念の為、全ての電解コンデンサを交換します。
全く同じものは入手できないので、同じ容量で同じサイズの代替品を探すんですが、現代品だと必然的に耐圧やグレードが上がります。

電解コンデンサ交換表

徹底クリーニング

基板、全てのパーツや機構部品、内部配線に至るまで徹底的にクリーニングします。

降り積もった汚れのある基板は、湿度が高いと絶縁抵抗が下がるため音質に影響を与える可能性がなくもありませんが、基本的にはクリーニングしたからといって、必ずしも音が良くなったり寿命が伸びるわけではないとは思います。

しかし、中古品特有のニオイが減ること、そして気分的な面からやることにしました。

特にニオイ。中古品のニオイについては、販売時点で説明されていることはほとんどありませんよね。でも、慣れるまで気になることがあります。

例えば、自宅に設置して次の日仕事から帰ってきたら「なんだか、よその家のニオイがする…」といった経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。
特に、前所有者がヘビースモーカーだったりでもしたら結構気になります。

幸い今回の個体はタバコ臭くはないんですが、液漏れのニオイが残らないようにします。

整備作業

古い機器をメンテする時は、できれば同じ機種を2台用意し、状態の良い方を蘇らせるためにもう片方を利用します。

今回扱ったアンプ2台上がA-817RXII、下がA-815RXII。

A-815RXIIの方はキズ汚れが多く、故障箇所も多いことからジャンク品として安くで手に入れました。終わったらいくつかの部品を取って処分します。

天板を外しましたA-815RXIIとA-817RXII天板を外したところ。

A-815RXIIの内部A-815RXIIの内部。

かなりホコリが積もっていて汚いです。

中央のヒートシンクはこのシリーズ特有の「魚の骨」と呼ばれる形状をしていますが、結構不評なんですねコレ。

A-817RXIIの内部。A-817RXIIの内部。

こっちはまだマシ。トランスとブロックコンデンサが大きいです。

分解組み立てで失敗しないように、まずはリファレンスであるA-815RXIIの方を完全に分解して構造を確認していきます。

A-815RXIIの裏面A-815RXIIの裏面。

出力段はシングルになってます。

A-815RXIIを完全分解したところ。完全に分解。無理して外すとヤバい箇所などが把握できました。

次に、A-817RXIIの方を分解していきます。組み立てに困らないように、各部をこまめに写真に収めながら分解します。また、ビスや小物パーツは組み立て時に間違えないように整理・分類しながら進めます。

A-817RXIIの底板底板を外すと、ブロックコンデンサの液漏れの後が…

穴から外部にも垂れてしまったようです。

A-817RXIIの裏面内部A-817RXIIの裏面内部。

結構フラックスが残っています。

割れたツマミ空回りするツマミの原因が分かりました。割れたというか、接着が外れてしまったんですね。

メインボリュームノブの裏側おや?A-817RXIIのメインボリュームノブの裏側に妙なものが詰まっています。
もしかすると、前所有者がオモリを詰めたのかもしれません。
A-815RXIIの方と交換しようかと思いましたが、これはこれで良さそうなので、このまま使い続けることにしました。

ナットを外した跡メインボリュームのナットを外そうとした跡がありました。分解しようとしたが大変だったので途中で諦めたのかもしれません。

幸い、部品の交換や改造などはされていなかったのでホッとしました。

フロントシャシー部の分解フロントシャシー部分はほぼ攻略。

TWM-06モンキー@ポケット TWM-06
ボリュームやスイッチなどの薄型ナットの締め付けにオススメです。ラジオペンチでやると傷つけやすいですからね。

入力セレクタ部入力セレクタ部分です。

作業の邪魔になったり弱りそうな部分は、後で外します。

MC/MMスイッチワイヤーこの水色のケーブルみたいなのは、PHONOアンプに付いているMC/MM切替えスイッチを操作する平ワイヤーです。デリケートな部分で配線を引き回すとノイズが入りやすいため、このようなワイヤーで操作するようになっています。
そのため、耐久性は良くないようですね。

スイッチワイヤーを外したところ外すと、こんな感じになっています。

ラッビング配線このぐるぐる巻いてあるやつは、ラッピングという配線方法で、現在ではほとんど見かけなくなりました。

専用の工具があるんですが、持っていないので外した箇所はハンダ付けに変更します。

場所によってはピンごと外してしまいます。

電源基板の裏側 その1電源基板のブロックコンデンサが付いている部分の裏側です。
銅のプレートで、コンデンサ同士が接続されています。

一見すると、液漏れしているようには見えないんですが・・・

ブロックコンデンサを外したところブロックコンデンサを外してみると・・・
うわぁーー!

クっさ~い液体が出てきました。キャー!
(喜んでいるのではない)

速攻でキムタオルを敷きます。

ブロックコンデンサの容量測定このコンデンサは15000uF。容量を測定してみると、約半分まで落ち込んでいます。
容量はともかく、内部でショートでもしたら危険ですね。

メーカーはニチコンだったんですが、さすがに30年の時の流れには勝てなかったようです。

電源基板の裏側 その2レジストもブヨブヨになってるし部品も少ないので、基板は作り直すことにします。

オリジナル重視とはいえ、博物館に展示が目的じゃないですからね。なんせ、同じ端子のブロックコンデンサが入手できないし、この部分はきちんと補修しておくべきという考えです。

腐食したケーブルこのアンプでは、ブロックコンデンサの端子にケーブルがハンダ付けされています。毛細管現象によってケーブルの芯線にまで電解液が浸透し、このように腐食してました。
A-815RXIIの別の部位から同じケーブルを持ってきて交換します。

銅端子一部のグランドを束ねる銅端子。

シャシーへの一点アースポイントシャシーへの一点アースポイント。
一応、銅メッキビスのようです。

分解の様子写真を撮りながらどんどん外していきます。

取り外した基板とビス類取り外した基板とビス類など。

100均で売っている薬入れにビスを分類しました。勿体無いですが、このケースは使い捨てになります。

自動ハンダ吸取器を使っているところ自動ハンダ吸取器で、パワーアンプ基板のフラットケーブルを外しています。

古い基板のハンダは、表面が酸化していて溶けにくいので、ここまでやるとなると、自動ハンダ吸取器はほぼ必須となります。

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自動タイプの中でも安い部類に入ります。コンパクトで使いやすくオススメ。コテ台付きのキャリングケースも嬉しいです。

パワーアンプ出力段基板作業しやすいようにパワーアンプの出力段基板を分離しました。

入力セレクタ基板のケーブルケーブルを外す時は、後で間違えないようにシルクで書かれている番号を振っておいて、

入力セレクタ基板思い切って外します。

これで、ケーブルの汚れも拭き取りやすくなりました。

メイン基板入力部の一部と、パワーアンプのドライバ段などが載っているメイン?基板。

PHONOアンプPHONOアンプ基板。

分解が終わったので、ここからクリーニングと補修に入ります。

機構部品や小物類を洗浄したところ機構部品や小物類は、中性洗剤やアルカリ電解水、アルコールなどを使って丁寧に洗浄し、十分に乾燥させます。

洗浄した底板底板の液漏れ跡もなんとか取れました。

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A-RX817RXIIのスピーカーリレースピーカーリレーは特に問題なかったのですが、結構あっさり取れたので今後のために接点をメンテしておきます。

リレー接点の補修接点や端子のメンテには、接点復活剤と接点グリスを使います。

材質などによっては、銅脱脂脱錆剤が有効なこともあります。

RCAジャックに接点復活剤RCAジャックにも接点復活剤が良く効きます。
しかし、年代モノでは錆が浸透していて、あまりキレイにならないこともあります。磨くとメッキが剥がれて、さらに錆びやすくなるので、あまり触らない方が良いかも知れませんね。

RCAジャックの中を掃除穴の中の接触部分もクリーニングします。

しばらく置いたら水で洗い流し、エアダスターで隙間に入り込んだ水分を十分に吹き飛ばした後、ドライやーなどで乾燥させます。

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接点洗浄剤と違って洗い流すのでなく化学反応によって接点を復活させます。酸化膜や硫化膜を除去する透明の液体です。
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エアダスターは数多くありますが、一番オススメのがコレ。威力が強く逆さOK。最安値クラスなのでたっぷり使えます。

ラッピングピンの復活これは、クスミがひどいラッピングピンを外してハンダ付けしやすいように復活させているところ。こんな用途にも使えます。

ちなみに、入れ物は写真のような金属は避けた方が良いですね。(悪い例)

スピーカー切替スイッチのメンテ1スピーカーの切替スイッチの接触が悪く、ガリっていたのでメンテします。
基板から外して分解してみると、

スピーカー切替スイッチを分解したところ黒ずみで汚れています。

スピーカー切替スイッチのメンテ2接点復活剤を塗って水で洗い流し乾燥します。

接点グリスを塗る接点グリスを塗って元に戻せば復活!

当たり前ですが、擦り切れや焼き切れがひどい場合は、復活しきれない場合もあります。

【タミヤ】タミヤメイクアップ材 タミヤ 接点グリスタミヤ 接点グリス
熱で流れにくい透明のグリス。接触面に塗ることで動きをなめらかにし接触不良をなくすほか寿命も延ばします。

メンテを終えたスピーカー切替基板クリーニングを終えた基板に元通りにハンダ付けし、さらにその部分のヤニを取り除いたら、まるで新品のようになりました。

もちろん接触不良も治ってます。

銅端子と銅のプレートグランドを接続する銅端子と銅のプレート。

腐食や酸化により黒ずんでいると、汚いばかりかハンダもやりにくいですが、

銅脱脂脱錆剤を使ったところ銅の脱脂脱錆剤を使えばピカピカに蘇り、ハンダのノリも良くなります。

まあ、コーティングしないと10円玉みたいにまたクスミが出てくるんですけどね。

サンハヤト ドーブライト銅箔脱脂脱錆剤 【SM-49C】サンハヤト ドーブライト
銅に塗ることで本来の輝きを取り戻しハンダのノリが格段に良くなります。銅なら何でもOK、基板の銅箔などに使います。

A-817RXIIの電源トランス電源トランスのクリーニング。

全体に絶縁コーティングがされているようですが、劣化・変色しているうえに、銅製のシールド帯も曇っています。

銅脱脂脱錆剤銅脱脂脱錆剤を用意し、

綿棒でシールド帯を磨く綿棒でシールド帯に塗っていきます。すると、銅のくすみが取れてくるのと同時に、コーティング剤も剥がれ落ちてきました。

金属磨き剤でシールド帯を磨くピカールのような、金属磨き剤でシールド帯を磨いてみると、

ピカピカになったシールド帯まぁ、なんとゆうことでしょう。
ちなみに、アクリル研磨剤でも同じように磨けると思います。

トランス全体は、アルコールなどを使って丁寧に拭き上げました。

シールド帯をコーティングするしかし、このままだとまた銅が酸化してくるので、ハヤコートでコーティングしておきます。

今回は胴の部分だけをコーティングしましたが、トランス全体をコーティングしてもよいと思います。

ハヤコートハヤコート AY302
サンハヤトの絶縁コーティング剤。コーティングした後でもちょっとやりにくくはなりますが一応ハンダ付けできます。

電源トランスのラベル補修剥がれかけていたラベルは、剥がさずにそのままセロテープで固定。

メイン基板の表面メイン基板の表面。割とホコリが少なく30年モノとしてはかなりマシな方でしょう。

LEDはアクセサリではなくてバイアス電圧を作るためのものです。半固定抵抗は終段のアイドル電流調整用ですね。

基板裏面のフラックス汚れこのアンプの基板の裏面は、全般的にフラックス汚れがベットリです。

フラックスリムーバーや、スプレータイプのクリーナーを吹きかけて洗浄します。

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特に吸わせる時に重宝するワイピングクロス。フラッククリーナーなどで基板を洗い流す時に、下に敷いて使ったりします。

基板から取り外したVRただし、接点を持つものなど安易に液体に付けるとヤバそうなパーツは濡らさず、取り外してから洗浄します。

例えば、こんな半固定抵抗もそうですね。

基板の裏面を拭き取るアルコール主成分のフラックスクリーナーは、落ちなかった汚れが白く残ります。

そういうしつこい部分は綿棒で拭き取ります。

基板の汚れを拭き取るホコリが降り積もっている基板の部品面は、スプレータイプで流しても完全には取れないので、綿棒などで丁寧に拭いていきます。ホコリ系なら消毒用エタノールも効果的ですよ。

ただ、拭きすぎると抵抗のカラーコードなどが剥がれてくるので要注意です。

TA7317P周辺の拭き取りちなみに、このICは TA7317P という、パワーアンプの保護回路用ICとして定番の品種で、今ではディスコンになっています。

電源投入後のディレイを取る動作も行います。

解いたツイストペアケーブルツイストペアにしてある配線は一旦ほどいて汚れを拭き取った後、丁寧に元に戻します。

根本にダメージを与えないように要注意。もし、ちぎれそうになってしまったらハンダ付けに変更します。

綿棒での拭き取り1洗浄に弱いパーツを取り外ししない、できない場合も、綿棒で地道にやります。

ボリュームの掃除ボリュームなんかも、ガリがある場合を除き、安易にスプレーとかで流してはいけません。

綿棒での拭き取り2こういう部分もフキフキ。

今回の整備では、拭き取りしていない面はありません。業者に持ち込んでも、ここまで丁寧にやってもらることはまずないでしょう。

PHONOアンプ基板の裏側PHONOアンプ基板の裏面です。
洗浄するのはもちろんですが、こちらは配線を止めているあの黄色いゴムボンドが問題です。

PHONOアンプのボンドを取り除いたところ・・・と思ったら、劣化してたおかげで結構簡単に取れました。

それにしてもこの変な配線、グランドなんですが、何よこの形。
ループを形成しているので、磁界の通過を妨げる効果を狙っているのでしょうか。

PHONOアンプ表面MC/MM切替スイッチは取り外して補修します。
電解コンデンサも外す。

表面にも謎のグランドループ配線です。

JRCの4560DXPHONOアンプには、JRCのオペアンプ 4560DX が使用されています。この石も結構有名ですね。

これも4558と同じく、現在の NJM4560 は絶対定格電圧が±18Vなので換装はできません。

PHONOアンプ裏側配線をホットボンドで固定補修後は、ゴム系ボンドの代わりにホットボンドを使って固定しました。
こっちのほうが見栄えがいいですね。

交換前の新しい電解コンデンサ電解コンデンサを全て新品に交換します。

自動ハンダ吸取器で電解コンデンサを取るこんだけあっても、自動ハンダ吸取器があればラクラクです。

自動ハンダ吸取器にチップリフレッサーを使っているところ自動ハンダ吸取器は、一般に高ワットで温度が高く、先端が酸化しやすいのですが、コテと同じようにチップリフレッサーを使えば新品のようになります。

goot チップリフレッサー BS-2チップリフレッサー
ハンダゴテの先が白や黒っぽくなってきてハンダが溶けにくくなったらすぐコレを使ってください。一度買えば長く使えます。

取り外した電解コンデンサ取り外した電解コンデンサ。
ご苦労様でした。

ハンダ不良に可能性のある箇所品質の悪いハンダ部位を修正していきます。
こんな感じの箇所は、今後ワレてハンダ不良になる可能性がありますので修正します。

半田の盛りすぎ箇所これは盛りすぎみたいになってます。
不良化する可能性は低いですが、ついでに治しておきます。

半田の盛りすぎを修正したこんな感じですね。

ジャンパが取れそうな箇所これなんか、元々こうなっていたんですが、もう少しで断線しそうです。治さずにはいられませんね。

フラットケーブルが斜めに入っているフラットケーブルが斜めに入っているパターン。これは全然マシな例ですが、これより結構ひどい箇所がいくつかあったので治しました。

ワイヤストリッパーでフラットケーブルの被覆を剥く後、動かしているうちにケーブルの根本が弱くなる箇所が出てくるので、そのような箇所は少し切断してやり直します。

偶然なんですが、ワイヤストリッパーでフラットケーブルの被覆を剥くことができました。

ベッセル No.3500E-2ワイヤーストリッパー
電子工作に十分な範囲のリード線サイズ(AWG30~AWG18)に対応しています。小型、オーソドックスで使いやすいです。

フラットケーブルをハンダ付けし直したところ一度外したフラットケーブルをハンダ付けし直したところ。

緑色をした東芝のトランジスタこの石も、パワーアンプのドライブ用として定番だったトランジスタですね。
かなり斜めに挿入されていたので一旦外してやり直しました。
昔の東芝の大電流PNPタイプはこんな緑色をしたものがありましたが、今ではもう作られていないんじゃないかと思います。

パワーアンプ基板準備完了パワーアンプ基板準備完了。

PHONOアンプ準備完了PHONOアンプ基板準備完了。

トーン回路基板準備完了入力セレクタ、トーン回路基板準備完了。

その他の基板や配線準備完了メイン基板や配線も準備完了しました。

A-817RXIIの電源基板次に、この電源基板に代わる新しい電源基板を自作します。

パターンは単純なんですが、抵抗を減らすためにジャンパー線が多数添えられています。新しい基板ではハンダを盛って同じことをします。

新しい電源基板のパターンパターンを設計。感光基板のサイズのラインナップの都合でサイズが少し小さくなりますが、部品の配置やパターンの引き回しはオリジナルと同様とします。

より詳しく⇒プリント基板の自作!感光基板を使った作り方で簡単製作

新しく取り付けるコンデンサ(383LX153M080N082)新しいブロックコンデンサは、CDE社の 383LX153M080N082 。外形は全く同じですが、耐圧は69Vから80Vになります。

現在ではもっと小型で大容量のものもあるんですが、あえてオリジナルと同じ15000uFを選びました。

電源基板を現像したところ現像したところ。

電源基板のカッティングエッチングが済んで穴あけをしたらカット。ミニテーブルソーを使っていますが、Pカッターでもうまく切れます。

ミニカッティングテーブルソーミニカッティングテーブルソー
基板のカットが楽チンになる!木材やケースの加工にも使えるミニテーブルソー。日本製の類似品よりも高品質で超オススメ。

新しい電源基板の裏側出来上がりました。

せめて色をオリジナルに近づけたいというのなら紙エポキシでも良いとは思いますが、剛性と耐久性の面ではこちらがオススメです。

新しい電源基板の表側ガラエポは裏のパターンが透けて見えます。

恐らくもう無いとは思いますが、電解液が漏れても基板自体は腐食しませんね。
また、取り付けビスが一つ減って3つになりますが、ガラスエポキシ基板を使うこともあって全く問題なしです。

サンケンのブリッジダイオードRB60ブリッジ整流ダイオードはサンケンのRB60。
今ではディスコン品ですが、新品が入手できたので交換します。

左:旧
右:新

部品を取り付けた電源基板部品を取り付けて、オリジナルと同じようにグランドを配線します。
被覆を剥いてある箇所は、後でここに一点接続するポイントです。

この後ハヤコートをしておきます。

電源基板の表面チャージノイズフィルタのフィルムコンデンサはオリジナルと同容量の新品、抵抗は取り外したもの、整流ダイオードは相当品の新品です。

ミニヒートシンクオリジナルには付いていないのですが、ブリッジダイオードは結構発熱するので、このようなヒートシンクを付けておくことにしました。

完成した電源基板ブロックコンデンサの振動をおさえるために結束バンドで縛って完成です。

出力電圧が高い(±58V)ので間違いがあると大変。この時点で動作確認を行っておきます。

各部の補修が完成したので組み立てに入ります。

枠組みを組み立てるまずは枠組みから。

汚れたビスを洗浄するために、アルコールを用意してます。

ビスを洗浄中そこまでやるか?

フロントと入力系を戻したところフロントと入力系が戻ってきました。

入力セレクタ部の配線入力セレクタ部の配線を整えます。

分解した時の写真を見ながら、配線の位置や結束バンドでの固定位置に至るまで、できるだけ復元していきます。

新品の電解コンデンサ新品のハイグレード電解コンデンサが眩しい!

PHONOアンプをを戻すPHONOアンプも復活。

半分組み上げたところ半分が終わりました。

電源基板をマウント最新式?電源基板をマウント。

銅端子への配線銅端子への配線。

ここは普通の30W程度のコテでは無理です。

goot 即熱はんだこて ストレート型 TQ-95即熱はんだこて
普段は30W、ボタンを押している間は90Wになる超便利なハンダゴテ。グランドプレーンのハンダ付けも余裕。耐熱キャップも良。

電源基板をマウントジャストミーー…って当たり前ですが。

パワーアンプ基板の取り付けパワーアンプ基板も戻ってきました。

組み立て途中なんだか本格キットを組み立てているみたいでワクワクします。

ケーブルを抑えるスポンジケーブルを抑えていた小汚いスポンジは、新品に交換します。
セルスポンジっていうみたいです。

オリジナルで使われていた雲母板ヒートシンクを取り付けます。
オリジナルでは、今では殆ど使われない雲母でできた絶縁板と、白いシリコングリスが使われていたんですが、今回の補修では専用のシリコンラバーシートを使うことにします。

放熱シート(シリコンラバーシート)TO-3PHシリコンラバーシート TO-3P用
シリコンラバー製の熱伝導ゴムシート。接触面の凹凸にある程度入り込むため、グリスの塗布は必須ではありません。

シリコンラバーシートを使ってのヒートシンクへの取り付け元々基板には反りがあって、補修後それが修正されたんですが、多分そのせいで穴の位置が微妙にズレていました。

無理やりハメることはやめて、一旦パワートランジスタを外すことにしました。

グリスを接着するために使うシリコンラバーシートを使うとグリスは不要になるんですが、そのままだとズレやすくてやりにくいので、銀粒子が主成分の高級熱伝導グリスを接着剤代わりに使います。

シリコンラバーシートを置くそしてシリコンラバーシートを配置。

ヒートシンク取り付け完了ヒートシンク取り付け完了。

コレクタの絶縁チェックも、面倒がらずに必ずやることです。

スピーカーを縛って固定するこのアンプのリレーは音が悪いです。昔、新品を持っていたときから確かそう感じていたと記憶しています。「カチンッ」と澄み切った音ならカッコい~んですが「ペチン」という感じの音がするんですよね。
これは、リレーのケースを縛って固定することでだいぶ改善しました。

内部配線完了1トランスを取り付けて、すべての配線を終えました。

配線は丁寧にやったので、オリジナルよりも美しくなっています。

内部配線完了2工場の流れ作業の中で組み立てられた品質とは違いますな。。。当たり前か。

メンテ後の裏面まるで新品のよう・・・っていうと少々大げさですが。

新しい電源基板もう壊れることのない(ハズの)電源基板。

配線には自信があったので、早速電源を入れて調整に入ります。

調整とは言っても、このアンプでは出力段のアイドル電流を調整する半固定抵抗しかありません。電源投入してすぐに調整しても、しばらくすると温まってズレますので、一時間以上かけ数回に分けて調整します。

分解前の値を参考にすると、設計値は20mA~30mA程度と思われます。多く流すほどA級に近づくので、特性的には向上しますが発熱がヤバくなってきます。
例えば50mA流すとすると、パラレルでステレオ分ありますから、50mA✕4✕116V で、23Wもの発熱が生ずる計算になります。

アイドル電流調整中ショートさせると大変なので、超慎重に作業を行います。

PNPとNPNのエミッタ間は約0.47Ωなので、25mA流すとすると0.01175Vあれば良いことになりますね。

整備後の ONKYO Integra A-817RXIIフロント、底板、天板を戻して任務完了!

整備後の ONKYO Integra A-817RXII令和の時代に再びデビュー!
ONKYO Integra A-817RXII

カタログのキャッチコピーにどうですかね。

整備アイテムまとめ

今回使用した主なアイテム。これで大抵の中古品に太刀打ちできると思います。

エアダスター

ホコリを吹き飛ばすのはもちろんですが、各種洗浄液を使った後に、残った液体を吹き飛ばすという使い方もできます。
乾かした後が残らないようにする、隙間に入り込んでいる液体を吹き飛ばしたりします。

エレコム エアダスター ECO 逆さ使用OK ノンフロンタイプ 3本セット AD-ECOMTエアダスター3本セット
エアダスターは数多くありますが、一番オススメのがコレ。威力が強く逆さOK。最安値クラスなのでたっぷり使えます。

アルカリ電解水

主に外装の汚れ落としに使います。結構強力なので、塗装などを傷めないように注意して使います。デリケートな箇所は、まず中性洗剤から始めた方がよいでしょう。

セスキの 激落ちくん 徳用 500ml激落ちくん500ml
最安値の消毒用エタノール500mL[指定医薬部外品]。電子工作では基板やパーツの汚れ落としなど汎用洗浄剤として使えます。

アルコール

無水エタノール(高アルコール濃度)よりも、消毒用エタノールがオススメ。少し水分が含まれているんですが、逆にそれが良いんです。
アルコールは脱脂効果が高く、シリコングリスなども落とせます。

サイキョウ・ファーマ 消毒用エタノールIP「SP」 500mL消毒用エタノール
最安値の消毒用エタノール500mL[指定医薬部外品]。電子工作では基板やパーツの汚れ落としなど汎用洗浄剤として使えます。

接点復活剤

スイッチの接点や端子を補修します。この手の商品には、洗浄剤と復活剤がありますが別物と考えた方が良いでしょう。一般にスプレータイプは洗浄タイプが多いんですが、安易に広い範囲に吹きかけまくると絶縁抵抗が下がったり、その時は良くてもしばらくして可動部分が固くなったりすることがあるので要注意です。

サンハヤト 接点ブライト 50ml ECB-L50サンハヤト 接点ブライト
接点洗浄剤と違って洗い流すのでなく化学反応によって接点を復活させます。酸化膜や硫化膜を除去する透明の液体です。

接点グリス

スイッチの接点を復活した後に塗って、耐久性を高めます。

【タミヤ】タミヤメイクアップ材 タミヤ 接点グリスタミヤ 接点グリス
熱で流れにくい透明のグリス。接触面に塗ることで動きをなめらかにし接触不良をなくすほか寿命も延ばします。

銅脱錆脱脂剤

くすんだ銅の表面をピカピカにします。基板の銅箔面や10円玉もピカピカに。
今回は、銅端子とトランスの銅製シールド帯に使いました。

サンハヤト ドーブライト銅箔脱脂脱錆剤 【SM-49C】サンハヤト ドーブライト
銅に塗ることで本来の輝きを取り戻しハンダのノリが格段に良くなります。銅なら何でもOK、基板の銅箔などに使います。

フラックスクリーナー

アルコールが主成分のスプレーで、洗い流すタイプのものです。主に基板に使います。
揮発性溶剤のものより落ちにくいのですが、広い範囲を洗い流せます。

ホーザン(HOZAN) フラックスクリーナー フラックスリムーバー 樹脂を侵しにくいため基板、コネクターにも安心して使える Z-275ホーザン フラックスクリーナー
アルコール主成分で、ノズルでシューーっと広範囲を洗い流せます。このたぐいの商品の中では最も安い部類に入ります。

フラックスリムーバー

揮発性溶剤が主成分の、ハケなどで塗って拭き取るタイプのものです。主に基板に使います。アルコール主成分のものより落ちがとても良いのですが、範囲が狭いです。

ホーザン(HOZAN) フラックスリムーバー フラックスクリーナー 原液タイプ 残渣が少ない 容量360g Z-293ホーザン フラックスリムーバー
白い残渣が少ないフラックスリムーバー。小瓶のタイプよりたっぷり使えるからメンテに大活躍。他に入れ物が必要。

キムタオル

ホコリが出にくいペーパータオル。洗浄液体を吸い取ったり汚れを拭いたりと、メンテナンス作業に大活躍します。
これとは少し違いますが、ティッシュ感覚のキムワイプは有名&定番ですね。

クレシア キムタオル ホワイト ポリパック DIY 50枚 61031キムタオル
特に吸わせる時に重宝するワイピングクロス。フラッククリーナーなどで基板を洗い流す時に、下に敷いて使ったりします。

ハンダゴテ

今回のアンプのような機材では、グランドラインなど、どうしても電子工作で標準的な30Wのコテでは厳しい箇所が、必ずあります。安物でも良いので、ワット数の高いコテを一つ持っておくことをオススメします。

goot 即熱はんだこて ストレート型 TQ-95即熱はんだこて
普段は30W、ボタンを押している間は90Wになる超便利なハンダゴテ。グランドプレーンのハンダ付けも余裕。耐熱キャップも良。

自動ハンダ吸取器

吸取り箇所が数箇所程度なら、吸い取り線や手動式でも間に合うと思います。
しかし、この記事でご紹介したような、ハンダ表面が酸化している古い基板から、多くの配線やコネクタを外すといったレベルの作業を行う時は、自動タイプを使わないとほぼ間違いなく基板を傷つけるハメになりますので注意してください。

goot 自動はんだ吸取器 TP-100自動はんだ吸取器 TP-100
自動タイプの中でも安い部類に入ります。コンパクトで使いやすくオススメ。コテ台付きのキャリングケースも嬉しいです。

モンキーレンチ

ボリュームなどの薄型ナットを回すときに使います。
特に、市販の機器ではボリュームのナットに緩み防止の接着剤が塗ってあることがよくあります。それをペンチなどで無理やり回していると傷を付けてしまうことになります。

TWM-06モンキー@ポケット TWM-06
ボリュームやスイッチなどの薄型ナットの締め付けにオススメです。ラジオペンチでやると傷つけやすいですからね。

動作検証

まあ、いい音出てるんで波形だけ見ても仕方ないんですが、一応撮ってみました。

手持ちのセメント抵抗(8.2Ω 10W)を、スピーカーのL/R端子それぞれにつないで、約10Wの正弦波を出力した時の波形です。10Wでも触れないほど熱々になります。

A-817RXIIの10W正弦波出力波形(10Hz)10Hz 正弦波 8Ω 10W

Lch
Rch

A-817RXIIの10W正弦波出力波形(1KHz)1KHz 正弦波 8Ω 10W

Lch
Rch

A-817RXIIの10W正弦波出力波形(20KHz)20KHz 正弦波 8Ω 10W

Lch
Rch

超低域が心持ち持ち上がっている感じですが、超高域までほぼフラットでした。

あとがき

A-817RXIIの回路図は分かったので、同じものが作れるかどうか?ですが、言うまでもなくパワーインフェイズトランスが無いと、全く同じものは無理ですね。

まあ、それは諦めたとしても、初段のデュアルFET 2SK389、デュアルとなると代替品えでさえ今は入手困難なので厳しそうです。デュアルトランジスタなら手に入るので、そこを変更すれば何とかなりそう。てか、ジャンク品から頂くという手もありますね。

D-77当方の環境では、小型のソコソコ良いスピーカーで聴いています。

大型のブックシェルフ型スピーカーをつないで大音量で聴きたいところですが、今ではそれも叶わず・・・
昔は持ってたんですけどね~D-77。
いつも親に「うるさい!」と怒られながら聴いてましたね。

現在は他にも何台かアンプを所有しており、今後電子工作ができなくなるまでにもう一台自作するかも知れません。
なので、今回整備したA-817RXIIは、しばらくしたらヤフオクかどこかでお譲りしようかと思っています。